※本記事は2026年10月27日時点の情報です。賃上げの数字は、厚生労働省「令和8年 賃金引上げ等の実態に関する調査」によるもので、常用労働者100人以上の企業が対象です。「運輸業、郵便業」には、トラック・宅配のほか、鉄道・バス・倉庫・郵便なども含まれます。
どうもおはこんばんにちは!オッサンです。皆様、お仕事お疲れ様です!!
運送業の賃上げは、全業種で最下位だった。厚生労働省の令和8年の調査で、運輸業・郵便業の賃上げ率は3.0%。15の業種の中でいちばん低い。賃金を上げた会社の割合も81.1%で、これも最下位だ。しかも、この数字には残業代が入っていない。ドライバーは2024年問題で残業も減っている。基本給は上がりにくく、残業代も減る。オッサンの実感は、国の数字とそのまま重なった。
オッサンはドライバーをやってきて、今は管理する側にいる。管理する側に回って、給料はがっつり下がった。この記事では、厚労省の数字の読み方と、「残業代が入っていない」ことの意味、そして現場で何が起きているかを書く。
結論:運送業の賃上げは全業種で最下位。しかも残業代は入っていない
オッサンの答えは、運送の給料は「上がり方がいちばん遅い」うえに「残業代が減る」で、二重に削られている、ということだ。
| 項目 | 運輸業・郵便業 | 全体(全業種) |
|---|---|---|
| 賃上げ率(1人平均賃金の改定率) | 3.0%(前年3.6%) | 4.4%(前年4.4%) |
| 1人あたりの上がった額(改定額) | 8,815円(前年10,545円) | 13,926円(前年13,601円) |
| 賃金を引き上げた・引き上げる会社 | 81.1%(前年85.7%) | 92.0%(前年91.5%) |
出典:厚生労働省「令和8年 賃金引上げ等の実態に関する調査」第1表・第2表
全体の賃上げ率は前年と同じ4.4%なのに、運輸業・郵便業は3.6%から3.0%に下がった。上がった額も、前年より1,730円少ない。世の中は賃上げムードでも、運送はその流れから取り残されている。
運送業の賃上げ率3.0%は、15業種でいちばん低い
上の業種と下の業種を並べるとこうなる
| 業種 | 賃上げ率 | 上がった額 |
|---|---|---|
| 建設業 | 5.5% | 20,599円 |
| 学術研究、専門・技術サービス業 | 5.4% | 19,492円 |
| 電気・ガス・熱供給・水道業 | 5.0% | 17,634円 |
| (中略) | — | — |
| 生活関連サービス業、娯楽業 | 3.5% | 9,210円 |
| 医療、福祉 | 3.3% | 8,540円 |
| 運輸業、郵便業 | 3.0% | 8,815円 |
賃上げ率では、運輸業・郵便業が15業種で最下位だ。上がった額では医療・福祉の8,540円がいちばん低く、運輸業・郵便業は下から2番目になる。
いちばん上の建設業とは、上がった額で1万円以上の差がある。うーん..同じ「人手不足」と言われている業種でも、ここまで違うんだよなぁ。
賃金を上げた会社の割合も81.1%で最下位
「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」と答えた会社の割合は、運輸業・郵便業が81.1%で、これも15業種で最も低い。全体は92.0%だ。
残りの中身も見ておく。運輸業・郵便業では、「引き下げた・引き下げる」が3.0%(教育・学習支援業の3.7%に次いで2番目に高い)、「未定」が14.8%あった。2割近くの会社が、上げていないか、下げるか、まだ決めていないということになる。
この数字を読むときの注意
- 「運輸業、郵便業」はトラックや宅配だけではない。鉄道・バス・倉庫・郵便なども同じ業種に入っている
- 常用労働者100人以上の会社が対象。小さな運送会社は入っていない
- 「常用労働者」は、雇用期間の定めがない人。期間を決めて契約している人は入っていない
だから、「宅配ドライバーの賃上げ率は3.0%」とは言えない。言えるのは、運送を含む業種全体で、賃金の上がり方がいちばん鈍かった、ということだ。そこは正確に書いておく。
この「賃金」には、残業代が入っていない
ここがいちばん大事なところだ。厚労省の調査でいう「1人平均賃金」は、こう定義されている。
所定内賃金(諸手当等を含むが、時間外・休日手当や深夜手当等の割増手当、慶弔手当等の特別手当を含まない)の1か月1人当たりの平均額をいう。
つまり、賃上げ率3.0%は、基本給と手当がどれだけ上がったかの数字だ。残業代や休日出勤の手当、深夜の手当がどれだけ増えたか減ったかは、この数字にはまったく出てこない。
2024年問題で、残業代のほうも減った
2024年4月から、トラックドライバーの時間外労働には年960時間の上限がかかった。いわゆる2024年問題だ。
オッサンの現場でも、労働時間のことがうるさくなった。その結果、超勤(残業)が減って、給料が減っている。働く時間が短くなったのは、体にとってはいいことだ。でも、残業代も含めて生活を組み立てていたら、そのまま手取りが減る。
【オッサンの意見】ここで厚労省の数字と重ねると、こうなる。
| 給料の中身 | 運送で起きていること | 根拠 |
|---|---|---|
| 基本給・手当 | 上がってはいるが、上がり方は全業種で最低 | 厚労省の調査(3.0%・15業種で最下位) |
| 残業代 | 残業の上限で、残業できる時間そのものが減った | 2024年4月からの上限規制/オッサンの現場 |
基本給の上がり方はいちばん遅くて、残業代は減る。二重に削られている。ニュースで「賃上げ4.4%」と聞いても、運送の現場の人間がピンとこないのは、たぶんこのせいだと思う。
オッサンは管理する側に回って、給料ががっつり下がった
ここからはオッサンの話。
オッサンはドライバーをやってきて、今は管理する側にいる。役職は上がったのに、給料はがっつり下がった。
理由ははっきりしている。ドライバーの頃はインセンティブが付いていた。管理する側に回って、それが付かなくなった。その分が、そのまま下がった。
役職が上がって、給料が下がる。字にすると変な話だよなぁ。でも、これがオッサンの現実だ。
【オッサンの意見】ドライバーの給料は、走った分のインセンティブや残業代で積み上がっている部分が大きいと思っている。オッサンの場合、走る仕事を離れたら、役職が上がっても給料は下がった。「偉くなれば給料が上がる」とは限らないのが、運送の現場だ。
念のため書いておく。これは会社の悪口じゃない。会社は赤字だ。利益がなければ、給料を上げたくても上げられない。宅配ドライバーがきつい理由の記事にも書いたが、運賃が上がらない、という一点から全部がつながっている。管理する側の苦労は、ドライバーのトイレ問題の記事でも少し書いた。
給料が理由で辞めた人はいない。辞めても次がないから
じゃあ、給料が下がって人が辞めているのか。オッサンの周りでは、給料が原因で辞めた人はいない。
でも、それは満足しているからじゃない。ドライバーの高齢化で、辞めても次がない。だから辞められない。これがオッサンの見ている現場だ。
「辞めた人がいない」と聞くと、いい職場に聞こえるかもしれない。違うんだよ。辞めないんじゃなくて、辞められないんだ。
【オッサンの意見】辞める人が出ないことは、給料に納得している証拠にはならない。数字だけ見て「人が定着している」と読むと、現場とずれる。不満を言わずに働き続けている人ほど、実は動けないだけ、ということもあると思っている。
国は「人件費を出せる運賃」を作ろうとしている
国も、このままでいいとは思っていない。国土交通省は「適正原価の設定に向けた有識者検討会」を開いていて、トラックの運賃の最低ライン(適正原価)を2026年中に提言としてまとめる予定だ。
業界紙の報道によると、10月19日の第4回では、国交省の案としてドライバーの人件費に加え、人材育成などの投資の原資も適正原価に含める方向が示された。一方で経済産業省は、人件費を「全産業平均並み」にする目標には慎重で、急なコスト増は消費者物価を押し上げると意見している。
【オッサンの意見】運賃の最低ラインができるのは、運送で働く人間にとっては悪い話じゃない。でも、運賃が上がることと、ドライバーの給料が上がることは、同じじゃない。会社が赤字なら、まずは赤字を埋めるところに回る。給料まで届くかどうかは、12月に出る提言の中身を見てから、また書く。
運送業の賃上げのよくある質問(FAQ)
Q1. 運送業の賃上げ率は何%ですか?
厚生労働省の令和8年の調査では、運輸業・郵便業の賃上げ率は3.0%で、15業種の中で最も低い数字です。前年の3.6%から下がりました。全体の賃上げ率は4.4%で、前年と同じでした。
Q2. この賃上げ率に残業代は含まれますか?
含まれません。この調査の「1人平均賃金」は所定内賃金で、諸手当は含みますが、時間外・休日手当や深夜手当などの割増手当は含みません。残業代の増減は、この賃上げ率には表れていません。
Q3. 2024年問題で、トラックドライバーの給料は上がったのですか?
基本給と手当は上がっていますが、上がり方は全業種で最も鈍い水準です。2024年4月から時間外労働に年960時間の上限がかかったため、残業が減り、残業代を含めた給料は減ったと感じているドライバーもいます。
Q4. 運送業で賃金を上げた会社はどのくらいありますか?
運輸業・郵便業で「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」会社は81.1%で、15業種で最も低い割合です。全体は92.0%でした。運輸業・郵便業では「引き下げた・引き下げる」が3.0%、「未定」が14.8%ありました。
Q5. この3.0%は、宅配ドライバーだけの数字ですか?
いいえ。「運輸業、郵便業」には、トラックや宅配のほか、鉄道・バス・倉庫・郵便なども含まれます。また、対象は常用労働者100人以上の企業で、雇用期間の定めがある人は含まれません。
まとめ:運送の給料は「上がり方が最低」で「残業代も減る」
- 運輸業・郵便業の賃上げ率は3.0%で、15業種で最下位。前年の3.6%から下がった
- 賃金を上げた会社の割合も81.1%で最下位。引き下げ・未定も目立つ
- この「賃金」に残業代は入っていない。2024年問題で残業代のほうも減った
- オッサンは管理する側に回ってインセンティブがなくなり、給料ががっつり下がった
- 給料が理由で辞めた人はいない。高齢化で、辞めても次がないから
今日やることは1つでいい。ドライバーの人、ドライバーの仕事を考えている人は、給与明細や求人の月給を「基本給・手当」と「残業代」に分けて見てほしい。国の賃上げの数字が教えてくれるのは前のほうだけで、2024年からは後ろのほうが減っている。両方を見ないと、本当の給料は分からない。
荷物が減ったのに現場がきつくなった話は宅配ドライバーがきつい理由の記事に、10月からの宅配の料金の話はゆうパック値上げの記事に書いた。12月に適正原価の提言が出たら、それで給料がどうなりそうか、また書く。
読んでいただきありがとうございます。
出典
- 厚生労働省「令和8年 賃金引上げ等の実態に関する調査」
- 同 結果の概要「1 賃金の改定の実施状況」第1表(賃金を引き上げた企業の割合・引き下げ・未定)
- 同 結果の概要「2 賃金の改定額及び改定率」第2表(産業別の改定額・改定率)
- 同「主な用語の定義」(「1人平均賃金」=所定内賃金。時間外・休日手当や深夜手当は含まない/「常用労働者」)
- 同「調査の概要」(常用労働者100人以上の民営企業が対象)
- LOGISTICS TODAY「運輸・郵便、賃上げ率3.0%で前年から後退」(2026年10月26日)
- 国土交通省「トラック適正化二法」(適正原価制度)
- 国土交通省「第4回 適正原価の設定に向けた有識者検討会を開催します」(2026年10月15日)
- LOGISTICS TODAY「国交省・経産省の議論から見る適正原価制度の課題」(2026年10月19日。第4回の国交省案・経産省の意見)


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