宅配ドライバーがきつい理由|荷物が減ったのに給料も減る現場の話

待ってて 運送・物流

※本記事は2026年9月時点の情報です。現場の話は、宅配の仕事をしているオッサン一人の実感と、業界で一般に言われていることの範囲で書いています。特定の会社の内部事情を書いたものではありません。

どうもおはこんばんにちは!オッサンです。皆様、お仕事お疲れ様です!!

宅配ドライバーは、荷物が減っても楽にならない。むしろきつくなって、給料まで減っている。これが今、オッサンが現場で感じていることだ。

「荷物が減ったなら、ドライバーは楽になったんじゃないの?」と思う人は多いと思う。2024年問題で労働時間に上限がかかったし、ドライバーは守られるようになった、というイメージもあるはずだ。

待ってて

現場は逆なんだわ。荷物が減ると会社の利益が減る。利益が減ると、会社は人と時間を削る。削られた分は、残ったドライバーの肩に乗ってくる。

この記事では、その流れを順番に書く。先に言っておくと、誰かを悪者にする話じゃない。「利益がない」という一点から、全部が連鎖しているという話だ。今日も少しの時間お付き合いお願いします。

結論:荷物が減ると、宅配ドライバーはきつくなる

先に全体の流れを出しておく。

  1. 荷物が減る → 会社の売上(営業収入)が減る
  2. 運賃は上げられない → 取り合いなので、値上げすると荷物がよそへ行く
  3. 利益が出ない → 会社はお金の出ていく先を削る
  4. 外への支払いを削る → 委託に回していた荷物を減らし、自社のドライバーでやる
  5. 中への支払いも削る → 超勤(残業)を減らせと言われる
  6. 1人あたりの荷物と担当範囲が増える → でも時間は延ばせない
  7. 給料は減る → 残業が減った分だけ減る

荷物が減っても、ドライバー1人が持つ荷物は減らない。人のほうをもっと減らすからだ。ここが外から見えにくいところだと思っている。

先に正直に:全国の荷物の数は、まだ減っていない

ここは自分に不利な数字なので、先に出しておく。

国土交通省の統計では、令和6年度(2024年度)の宅配便の取扱個数は50億3,147万個。前の年度より約0.5%増えている。令和7年度(2025年度)の数字は、2026年9月時点ではまだ公表されていない。

出典:国土交通省「令和6年度 宅配便・メール便取扱実績について」(2025年8月27日)

つまり全国で見ると、荷物はほぼ横ばいだ。「日本中で荷物が減っている」とは、今の数字では言えない。

それでも、オッサンの現場では物量はかなり落ちている。これは測った数字じゃなくて、毎日運んでいる人間の実感だ。

この2つは矛盾しないと思っている。全体が横ばいのまま、会社どうしで荷物を取り合っているからだ。パイが増えないなかで取り合えば、増える会社もあれば、減る会社も出てくる。

【オッサンの意見】結局、奪い合いなんだわ。全体が伸びていた時代は、多少取られてもどこかで埋まった。今はそうはいかない。

運賃は上げられない。だから利益が出ない

荷物が減ったなら、1個あたりの運賃を上げればいい。理屈ではそうなる。でも、それができない。

国土交通省が2026年8月26日に公表した調査では、国が示した「標準的運賃」の8割以上を受け取れている運送会社は、約35%しかない。運賃交渉をした会社は約90%あるのに、だ。

出典:LNEWS「国交省/『標準的運賃』の8割以上収受できたトラック事業者は約35%」(2026年8月26日)

この数字の読み方は、ゆうパック値上げの記事にくわしく書いた。一言でいえば、値上げを言えば荷物がよそへ行く。だから言い切れない。

10月1日から日本郵便と佐川が値上げする。それでも【オッサンの推測】大口のお客さんには、同じようには値上げを言っていないと思う。大口が離れたときのダメージが大きすぎるからだ。各社の大口との契約条件は公表されないので、ここは確かめようのないオッサンの見立てとして読んでほしい。

運賃は上がらない。荷物は減る。そうなると、会社に残るお金は減る一方になる。

利益が出ないと、会社は2つを削る

売上が減って、単価も上げられない。そのとき会社が手をつけるのは、出ていくお金だ。

大きく分けると2つある。外に払うお金と、中に払うお金だ。

外に払うお金:委託に回す荷物を減らして自社でやれ

宅配の仕事は、自社のドライバーだけで回しているわけじゃない。荷物の一部は、委託(協力会社や個人で請け負っているドライバー)に回している。委託に回した荷物には、1個いくらでお金を払う。

荷物が減って利益が出なくなると、こう言われる。

「委託に回す荷物を減らして、自社でやれ」

会社から見れば筋は通っている。自社のドライバーの給料は、荷物があってもなくても払う。それなら外に払うお金を減らして、中で回したほうが安い。

ただ、その分の荷物は自社のドライバーに乗ってくる。そして委託で請け負っている人は、仕事そのものが減る。【オッサンの意見】こっちも相当きついはずだ。

中に払うお金:超勤を減らせ

同時に、もう一つ言われる。

「超勤を減らせ」

超勤というのは、いわゆる残業のことだ。残業代も会社から見れば出ていくお金なので、ここも削りたい。

2024年4月からは、トラックドライバーの時間外労働に年960時間の上限がかかっている。いわゆる2024年問題だ。もともと時間には厳しくなっていたところに、「利益がないから」という理由がもう一つ重なったわけだ。

出典:国土交通省 資料(2024年問題)

【オッサンの意見】ここがいちばんしんどいところだと思っている。委託を減らして荷物は増やせ。でも時間は減らせ。この2つが同時に来るんだわ。営業収入が少ないから、なおさら両方とも言われる。

人を減らしても、効率はそんなに上がらない

会社の計算はたぶんこうだ。車と人の数(稼働)を減らして、1人あたりの配完個数(配達を終えた個数)を上げる。そうすれば、同じ荷物を少ない人数で運べる。

机の上ではそうなる。でも現場では、そんなに上がらない。理由は2つある。

1人の担当範囲が広がると、移動が増える

稼働を落とすと、1人あたりの集配範囲が広くなる。

担当するエリアが広がれば、1軒から次の1軒までの距離が延びる。荷物の数が同じでも、走る距離と時間が増える。配達そのものより、移動に取られる時間が増えていくわけだ。

だから配達はきつくなる。荷物を持って走る距離が延びるんだから、当たり前といえば当たり前なんだよね。

午前中指定が、回る順番を縛る

もう一つが午前中指定だ。

午前中指定の荷物は、昼までに届けないといけない。担当範囲が狭ければ、午前中の荷物を先に回っても大した遠回りにはならない。

でも範囲が広がると話が変わる。広いエリアに散らばった午前中の荷物を、昼までに全部回らないといけない。近いところからまとめて効率よく回る、ということがやりにくくなる。午前中に行ったり来たりして、午後にまた同じ方面へ行く、みたいなことが起きる。

【オッサンの意見】だから人を減らしても、そんなに生産性は上がらない。範囲が広がった分の移動と、午前中指定の縛りで、計算どおりには個数が伸びないんだわ。

そこに「時間を守れ」が来る

範囲は広がった。移動は増えた。午前中指定で順番も縛られる。

そこに「労働時間を守れ」「超勤を減らせ」とうるさく言われる。

荷物は増える。範囲も広がる。でも時間は延ばせない。正直、やってらんねーってなる。これがオッサンの本音だ。

誰かが悪いわけじゃないのは分かってる。会社も利益がないから言っている。労働時間の上限も、ドライバーを守るためにできたルールだ。ただ、全部が同時に来ると、現場ではこうなるということだ。

給料は当然減る

超勤が減れば、残業代が減る。給料は当然減る。

時間に上限がかかることと、給料が減ることは、表と裏の関係にある。「働く時間が減ってよかったね」で済む話じゃない。残業代も含めて生活を組み立てていたら、そのまま手取りが減るということだ。

世の中の数字を一つ出しておく。マイナビが2026年9月15日に公表した8月の調査では、アルバイト・パートのドライバー職の募集時給は平均1,228円。前の年の同じ月より174円、12.4%下がっている。全職種の平均(1,303円)より75円低い。

出典:LNEWS「マイナビ 2026年8月度アルバイト・パート平均時給レポート」(2026年9月15日)

これはアルバイト・パートの募集時の時給で、正社員の給料の話ではない。オッサンの給料と直接比べられる数字でもない。ただ、「人手不足」と言われ続けている職種で、募集の時給が1年で1割以上下がっているという事実はある。

【オッサンの意見】人が足りないなら、時給は上がるはずだ。それが下がっているのは、人より先に荷物とお金が足りなくなっているからだと思っている。

うーん..こうなると、ドライバーの幸福度はかなり下がるよね。オッサンの周りを見ていても、そう感じる。これは測った数字じゃなくて、実感だ。

10年前は「多すぎてきつい」、今は「減ってもきつい」

オッサンは2016年12月に、このブログで「今の運賃では宅配の品質の限界に来ていると思う」という記事を書いている。

あのときの「きつい」は、荷物が多すぎるきつさだった。荷物があふれて未配が出る。指定日と時間指定を守るのがほぼ無理。1日100件200件が普通で、法定労働時間を軽く超える。そういう話だった。

10年たった今の「きつい」は、中身がまるで違う。

   
 
 
10年前(2016年) 今(2026年)
荷物 多すぎる 減っている(オッサンの現場)
時間 上限がなく、長く働くしかない 上限があり、超勤を減らせと言われる
足りない 稼働を減らされる
給料 残業で増える 残業が減って、減る
 
 
 

荷物が多くてもきつい。減ってもきつい。変わらないのは、運賃が上がらないことだ。

10年前の記事で、オッサンは「配送料無料とかやめて、しっかり運賃をもらうようにしないと難しいんじゃないか」と書いた。10年たっても、話はそこに戻ってくる。運賃が取れないから、荷物が多い時代は人が倒れそうになり、荷物が減った今は給料が削られる。

物流全体で何が起きているかは、物流の2026年問題の記事にまとめてある。

荷物を受け取る側にお願いしたいこと

ここまで読んで、「で、自分に何ができるの」と思った人もいるかもしれない。

先に言っておくと、「午前中指定をやめてくれ」と言いたいわけじゃない。午前中に受け取りたい事情は人それぞれある。そこは遠慮なく使ってほしい。

そのうえで、もしできるなら、この3つだけお願いしたい。

  1. 本当に午前中じゃないといけないか、一度だけ考えてみてほしい。「なんとなく午前中」なら、午後や夜の指定でも困らないかもしれない
  2. 受け取れる時間帯を指定してほしい。再配達は、同じ家に2回3回行くということだ。担当範囲が広がった今、1回の空振りが重い
  3. 置き配や宅配ボックスが使えるなら、使ってほしい。1回で終わる荷物が増えるほど、現場は回るようになる

【オッサンの意見】これで給料が上がるわけじゃない。でも1回で届く荷物が増えれば、そのぶん時間には余裕ができる。時間を削られている今の現場には、それがいちばんありがたいんだわ。

よくある質問

Q. 荷物が減ったのに、宅配ドライバーがきついのはなぜですか?

A. 会社の利益が減り、人と時間を削るからです。荷物が減っても運賃は上げにくいため、会社は委託に回す荷物を減らし、残業も減らそうとします。その結果、自社のドライバー1人あたりの荷物と担当範囲が増え、しかも時間は延ばせないという状態になります。

Q. 全国で宅配便の荷物は減っているのですか?

A. 令和6年度の時点では減っていません。国土交通省の統計では、令和6年度の宅配便取扱個数は50億3,147万個で、前年度より約0.5%増えています。令和7年度の数字は2026年9月時点で未公表です。全体が横ばいのなかで会社どうしが荷物を取り合っているため、会社によっては荷物が減っています。

Q. 2024年問題でドライバーの給料は上がったのですか?

A. 残業が減った分、給料が減ったと感じているドライバーもいます。2024年4月から時間外労働に年960時間の上限がかかりました。働く時間が減ると、残業代も減ります。運賃が十分に上がっていないため、その分を基本給で埋められる会社ばかりではありません。

Q. 人を減らせば、配達の効率は上がるのではないですか?

A. 現場では計算どおりには上がりません。1人の担当範囲が広がると移動の距離と時間が増えます。さらに午前中指定の荷物は昼までに届ける必要があるため、広い範囲を効率よく回る順番が組みにくくなります。

Q. 受け取る側にできることはありますか?

A. 再配達を減らすことです。受け取れる時間帯を指定する、置き配や宅配ボックスを使う、といった方法があります。1回で届く荷物が増えるほど、ドライバーの時間に余裕ができます。

まとめ

要点をまとめる。

  1. 宅配ドライバーは、荷物が減っても楽にならない。会社の利益が減り、人と時間を削るからだ
  2. 全国の荷物はまだ横ばい(令和6年度は+0.5%)。そのなかで会社どうしが取り合っている
  3. 運賃は上げられない。標準的運賃の8割以上を受け取れている会社は約35%
  4. 会社は「委託を減らして自社でやれ」「超勤を減らせ」を同時に言う。荷物は増えて、時間は減る
  5. 人を減らしても効率はそんなに上がらない。担当範囲が広がり、午前中指定が順番を縛る
  6. 給料は当然減る。残業代が減るからだ

今日やること:次に荷物を頼むとき、受け取れる時間帯を一つ選んでみてほしい。それだけで、1回で届く荷物が1個増える。

最後にもう一度書いておく。この記事は会社の悪口じゃない。会社も利益がないから言っている。運賃が上がらない、という一点から全部がつながっているだけだ。ただ、「荷物が減ったならドライバーは楽になっただろう」と思われているなら、それは違うと、運んでいる側の人間として書いておきたかった。

読んでいただきありがとうございます。

 

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